新着オーディオ機器試聴レポート

スピーカースタンド偏

2005年1月29日

オーディオの使いこなしで難しくそして楽しいのがスピーカーのセッティング。
達人の良い音の秘密はスピーカーの使いこなしが大きなウエイトを占めている。
スピーカーの使いこなしが大切なのはわかっているが
小型の30Kg程度のスピーカーならセッティング調整も容易だ。
しかし30Kgを超えると極端に重く感じられ角度調整すらままならない。
マリオの愛用しているJBL4344MKUは1本80Kg。
とても容易に動かせる品物ではない。

ポン!と置いただけでよい音が出てくれれば問題ないがそうは簡単には行かない。
置くという行為にしても床に直置きしたのでは低音がこもってしまいモコモコした歯切れの悪い音しか得られない。
そこでスピーカースタンドが必要とされる訳だ。
さて、そのスタンドだが、これまた多種多用でと言いたいところだが意外に大型スピーカーが乗るスタンドがないのである。
小型ブックシェルフ用のスタンドなら数多あるのに・・・だ。

マリオも木材や御影石を使って実験してみた結果、
タオックのスタンドと自作カーボンインシュレーターの組み合わせで落ち着いていた。
微調整用にグラスウールを背後にたくさん詰め込んで。
このセッティングにたどり着くのに2年の歳月を要している。

さて、今回市販のスピーカースタンドを入手する機会があり実験することになった。
そのスタンドとはサウンドトレイルさんのSTS−05 (4343・4344専用)。
必要にして最小限の梱包で送られてきたSTS−05は美しい塗装が施され
ガッチリとした強固な作りですばらしい。
最近の欧州製スピーカーに見られるようなツルツルピカピカではないが
このシックな佇まいはマリオの好みにぴったり合っている。
(社名がサウンドトレイルでサウンドトレールが商品名だそうだ)
気になったのが取り扱い説明書が入っていない。
サウンドトレイルさんの社長から直にメールを頂いていて設置についての注意事項はわかっていたので
問題はないが是非文書での取り扱い説明書も欲しい。



実際のセッティングをレポートしてみる。
マリオの試聴はとても簡単でラジカセを載せて聞いてみる。
今回はいつものラジカセが故障しているのでAV用に使っているオンキョーD−500Uを載せてみた。



写真を見て笑わないで欲しい。
スピーカースタンドやボードの素の音を聞くのはこの方法が一番。
音がきりりとし立ち上がりが早い。
セリフの明瞭度が上がり生ナマしい。
4344MkUではどうなるか期待が非常に大きくなった。



少し心配だったのがスタンドの高さ。
今のスタンドの高さは試行錯誤の末決定したもので低過ぎると低音のコモリがでてしまう。
箱から出したSTS−05を合わせて見ると何とぴったり同じ高さである。
さすがにこれには驚きを通り越して唖然とするばかり。
偶然の一致ではなく必然の高さである。
このスピーカーのことをよく研究されていると思う。



スタンドの高さが同じなのでスピーカーの移動もスムーズだ。
「男性2人で作業してほしい」とメールには書かれていたが
持ち上げる必要がないのでひとりで充分。2人いれば更に仕事が捗ると思うが。
スピーカー2本をスタンドに乗せなおす時間はわずか30分。
あっけなくスタンドの交換完了。

早速音出し。
少々コモリ気味。これは原因がわかっている。
以前もこの症状があったので背面にグラスウールを充填することで解決していた。
だからあまり気にする必要は無い。
それにSTS−05の最大のメリットはキャスター付きなので壁からの距離を簡単に変えることが可能で
上手く行くとグラスウールも必要なくなるかもしれない。
キャスターのストッパーを外し連結棒に手を掛け引っ張る。
80Kgのスピーカーがスルスルと動き出す。快感だ。爽快だ。
少し動かし試聴を繰り返す。固定式スタンドでは音が決まる前に体力が消滅してしまう。
結局途中で妥協してしまうのだ。
STS−05ではそのような心配は要らない。
前後の調整、左右の振り角調整を済ませストッパーを掛ける。これで終了。
出てきた音は2年掛けて熟成させたオリジナルスタンドに匹敵するもので
フッと軽く出る低音、充実した中音、歪み無くさらりと出る爽やかな高音。どれもすばらしい。
木のぬくもりを感じさせる柔らかな響きで剛とは無縁の世界だ。
気の済むまで軽くセッティングができるので音像もピンポイントで決まる。
1週間ほど経つと更に安定するそうなので楽しみである。



オーディオマニアはキャスターに難色を示す。
もちろんマリオもそのひとり。
キャスターが共振したりふら付いたりして音が安定しないのではないか?
キャリアの長いマニアほど思い込んでいるはずだ。
思い込んでいるだけで実験したことがある人はほとんど居ないと思う。
サウンドトレイルさんはこの常識にあえて挑戦した。
一般家庭で常識的音量ではキャスターによる音質の劣化は感じられない。
しかし、数百Wも入れる大音量では弊害が出るかもしれないが
実験することもできないので一般的にデメリットは無いと考えてよいだろう。

STS−05の販売価格はこの時点で2脚5万円。
大型スピーカーのスタンドとしては破格の値段。
高さの一致でも見られるようにスピーカーに対し詳しく研究し開発されたものだろう。
材質もよく吟味され木製品でありながら狂いは非常に少ない。
スピーカーを乗せてまったくガタツキがないのがその証拠だ。
精度とコストは仲良く比例関係にあるのでコストパフォーマンスはかなり高い位置にあると思う。


1月31日

STSー05使いこなし編。
オーソドックスにそれまで使っていたスピーカー台と交換しただけだったが
今度は更に踏み込んだ使いこなしをやってみたいと思う。
もう少し使い込んでから続編を書くつもりだったが
音が大きく変化したのでこの感動を忘れないうちに書いておく。

写真でご覧頂いているようにスピーカーの下にはコタツ板が敷いてある。
床の補強とスピーカー台受けの2つの働きをさせていた。
しかし、どうやらこのコタツ板がSTS−05と相性が良くないらしく
外してみてはどうかとサウンドトレイルさんからアドバイスを頂いた。
床の強度が心配だったが今まで事故も無かったので大丈夫だろう。
キャスターが大型なので畳の上でもスムーズに動かせる。
スピーカーを前方に移動させコタツ板を撤去。
(見事にすり鉢上に変形している・・・)
そのままスピーカーを押し込めばOKだ。

少しコモリ気味だった低音がコモリが取れている。
その為か更に下の周波数まで聞き取れる。
チャンデバの設定を以前の設定に戻しても大丈夫。
ようやくSTS−05の本領発揮であろうか。

色々ソフトを聞き込んでいて気づいたのは
スピーカーの能率が上がったような気がしている。
普段聞いている音量だがボリューム位置が下がっているのだ。
何故なのか説明はつかない。


2月6日

STS−05のレポートはまだまだ続く。
聞き続けるうちにエンクロージャーの鳴きが気になりだした。
このスピーカースタンドの設計コンセプトは「スピーカーボックス六面体をストレスなく振動させること」
とあるようにエンクロージャーの振動も積極的に活用する。
しかしマリオの部屋の影響か音が濁って聞こえはじめた。
原因は多分エンクロージャーの鳴き過ぎだと思う。
過ぎたるは及ばざるがごとし。
早速制震対策に乗り出す。
振動を殺し過ぎても音の生気が無くなることがわかっているのでバランスが大切。
得意の自作カーボンインシュレーターを足元に挟むことにする。
STS−05にはベストポジションに木製インシュレーターが埋め込まれている。
接着してないので取り外しできるそうなのだが
新品スピーカースタンドに不用意に手を加えたくない。
純正のインシュレーターとスピーカーの間に自作カーボンインシュレーターを挟むことにした。

ホームページの容量がいっぱいなので写真を掲載できなくて申し訳ない。
鳴き過ぎず制動し過ぎない材料としてカーボンは最適。
鳴らしてみると中音の濁りが取れボーカルがすーと立ち上がる。
静寂性が増しスピーカーの周りが静かになっている。
この感じ、中々良い。
この後も更に音質アップを計って行きたいと思う。

2005年


2007年3月25日 9時45分 震度6の地震発生。能登半島地震である

地域によって家屋の倒壊、道路が分断される。
たまたま家に居たのでスピーカーの保護を最優先。
必死に両手でスピーカーを支えていたのだが
80Kgもあるスピーカーを人力だけで支えるのは不可能であり
我がスピーカーも地震のエネルギーをまともに受けてしまう。
機材の重量など地震の揺れに対してまったく無力。
逆に跳ねかえったエネルギーが重量以上のパワーとなって襲い掛かる。
そんな時、STS−05のキャスターが威力発揮。
地震の揺れに逆らわず左右前後と小刻みに動いてくれて
地震のエネルギーを吸収してくれた。
ただ上下運動に関しては挟んでいたカーボンインシュレーターが仇となり
少しずれてしまったので後日撤去した。
カーボンは摩擦係数が少なく滑りやすいのだ。
ラスクボードも設置したのでSTS−05付属の純正インシュレーターで充分。
皮がエンクロージャーをしっかり捕まえていてくれるだろう。

「何時来るかわからない地震を心配しても仕方が無い」
故・長岡鉄男さんの共鳴管スピーカー製作時の言葉であるが
実際の震災を体験すると日頃から地震は必ず来ると心得ておく必要があると思う。
ラックなどは壁や柱に強固に固定することも出来る。
しかしスピーカーはどうだ?
音を優先するので壁や柱に固定する訳にいかないではないか。
地震のエネルギーに逆らわず吸収させる対策が有効である。
サウンドトレイルさんの一連のスピーカースタンドは
地震に対して非常に有効に働くことが証明された。

地震国日本に住むのであるからは地震の脅威から逃げられない。
我々オーディオマニアは常々からシステムを地震から守る必要がある。
特に手塩にかけて育てるスピーカーは我が子同然。
地震でひっくり返ったら取り返しがつかない事態だ。
音質と地震対策、相反する事柄で現在のところ有効な手段はまだ無い。
そんな中で、サウンドトレイルさんのスピーカースタンドは
非常に高い次元で音と地震を両立させた製品だと思う。
今から思い返してもSTSー05を使っていなかったらと思うとゾッとする。


戻る