
少し基本に戻ろうと思う。
Hi-Fi(ハイファイ)とは、High Fidelityの略語。その意味は、「高忠実度」、原音に忠実な再生をすること。
目をつぶれば、あるべき位置に演奏者が浮かび上がる。音を聴いただけでは原音と再生音との区別がつかない。これを最終目標とする。
我々は高い金を払ってスピーカーを手に入れ、一生懸命手間を掛けてチューニングし、最終的に「そのスピーカーの存在が消えた時が、目標達成」なのである。たしかにおかしな趣味ではある。
「いかにもスピーカーが鳴ってます。」的な音は、基本からしてNGなのであるが、多くのオーディオマニアの中には、「いや、そんなオーディオの楽しみ方もアリだ。」と言われる方もおられる。
一昔前、名器と呼ばれるスピーカーがいろいろあった。みなけっこう存在感のあるスピーカーであった。
その存在感を表現する形容詞を、いくつか解説しようと思う。
(1)前に出る音。
積極的、能動的で、音の良さそうなイメージを持つ形容詞ではあるが、「あるべき位置に演奏者が浮かび上がる。」からはちょっと外れる。
プログレッシブなジャズのソリストが前に出てくるのは良いが、オケのずっと後方で神のお告げを歌うはずのソプラノが、ステージの前にしゃしゃり出てきては、イメージぶち壊しなのである。
スピーカーの高音域にちょっと歪みがあると、原音とは関係なく音像位置が前に出てくる。ちょうどスピーカーの位置に奏者が居るように聴こえる。その歪み源が音像として認識されるのだと思う。
ハリウッド全盛期と重なる一昔前のアメリカ製のスピーカーに、このような物が多かった。そういった能動的な音が、当時のアメリカ人に受け入れられた結果だと思う。
ところで某国のオーディオメーカーは、その歪みを減らすことが金科玉条となり、その結果、前に出てくるべき音までが、後ろにひっこんでしまった。要するに、コストダウンのための小さい磁気回路の駆動力が足りないところに、そこに歪みを減らすために厚いコーンを持ってきたもので、、、後略。
(2)柔らかい音。
これは、一昔前のヨーロッパ製の安価なスピーカーに多かった。
ディットン66のように、その方向で特化してしまえば、それはそれでまた存在価値があった。
しかしそのディットンも売り上げを伸ばそうとして、「ジャズもロックも、ニューミュージックもコレでイケますよ。」と進化?してしまった。ところが磁気回路が付いて行けてなかった。
(3)解像度の高い音。
これも某国のスピーカーに多いのであるが、生のクラシックのコンサートでは、今のオーディオのような解像度の高い音はなかなか聴くことはできない。
ちょっと実験してみればすぐわかることなのであるが、グライコで低音をスパッと切ってやれば、見かけ上の解像度はずっと高くなる。細かい音まではっきり聴こえだす。
こういう似非解像度に騙されちゃあきまへんぞ。
エッセイ45に続く。
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